2024年6月12日水曜日

The Football Factory

お久しぶりです。また少しブログの更新が滞ってしまい申し訳ありません。書きたいことはたくさんあるんですが、他の業務もあって期間が空いてしましました。できる範囲でブログの更新もしていくので楽しみにしてもらえると嬉しいです。

1996年に公開したイギリスの名作映画「Trainspotting」は、公開以降さまざまな作品に影響を与えました。公開以前のイギリス映画は冴えない時代劇か、さすらいのダンディ男、もしくはラブコメが多かったのに対して、ドラッグ・カルチャーの大胆な描写などによって若者のリアルを描く映画が増えました。僕は観た直後はコンバースばっかり履いてましたね。あのクタクタで履き潰したハイカットのコンバースがかっこいいんですよね。同じ経験をした人もきっといるでしょう。そういった背景から「Trainspotting」なくしては公開されていなかったであろう作品を1本紹介したいと思います。

2004年に公開された「The Football Factory」という映画。ロンドンのサッカークラブ、チェルシーのサポーターを描いた作品で、もしかしたら観たことのある方も少なくないでしょう。チェルシーなのにパッケージ赤なんだってとこは一旦無視してください。

今シーズンのチェルシーは度重なる監督の解任から元イングランド代表のレジェンドであるフランク・ランパードも指揮を執っていましたが、不調のままシーズンを終えました。

ちなみに公開された2004年の04/05シーズンのチェルシーはというと、黄金時代と今でも語り継がれるほどの圧倒的な強さを誇っていました。名将ジョゼ・モウリーニョが指揮を執り、プレミアリーグを制覇したシーズンでもあります。

当時のフォーメーションはこんな感じ。これだけでも映画への興味が湧いてくるのは僕だけでしょうか。そんな期待を含めて鑑賞しましたが、試合シーンを始めとするチェルシー自体の登場は一切ありません。サッカーシーンとドラッグ・喧嘩シーンの割合が2:8ぐらいな感じ。

主人公であるトミーの週末の愉しみはドラッグと酒、SEX、そして仲間と一緒に応援しているチェルシーと暴力だけでした。そんな日々意味のない喧嘩に明け暮れていたトミーと一番の友人であるロッドを連れて近くのクラブに行きます。そこで2人の女性をひっかけて自宅まで押しかけます。しかしその女性の父親がライバルチームである「ミルウォール」の熱狂的なサポーターでした。翌朝起きるとナイフを突きつけられるトミーでしたが、ロッドがクリケットのバットで殴って気絶させ、その場を後にします。

そんな恨みを買ってしまったトミーですが、その後に行われたFA杯の抽選で対戦相手がミルウォールに決まってしまいます。それから毎晩のようにひどい悪夢を見る日々が続きます。それも薄暗いトンネルでミルウォールのサポーターとの抗争で袋叩きにされる内容で、最後にはフードを被り顔を包帯でぐるぐるに巻いた謎の人物に出会うのです。しかし、その謎の人物の正体は分からないまま目が覚めるのを繰り返します。その謎の人物が誰なのか、そしてこんな生活を続けていて良いのかと自問自答する日々を描いたチェルシーを愛するサポーター(フーリガン)にフォーカスした映画です。

この映画にそもそも試合を観戦しているシーンが無いんですよね。この映画で描かれているフーリガンたちは、応援するクラブの勝敗や選手のプレーよりもどこと対戦するかが重要なんです。つまりサッカーのプレーを映し出さないことで、フーリガンがどうしてこの世に存在するのかを問い掛け、理屈なしに描き切っていると感じました。

ドラッグ、酒、SEX、暴力に手を染めるフーリガンというテーマとストーリーに映像、音楽というイギリスならではの描写は当時のイギリス社会そのものを描いています。これは冒頭にも話した「Trainspotting」からの影響も大きいでしょう。常にリアリティーを追い求めるイギリス映画では物語がハッピーエンドで終わることはあまりないのです。その辺も踏まえて観てもらえたらと思います。

悪夢を見始めたキッカケは「フーリガンでいる自分」と「フーリガンではない自分」という対立関係がトミー自身の中で生まれたからではないかと自分なりに解釈しました。つまり主人公は、フーリガンという刹那的な生き方とは違う、人間の「生」に対する執着を初めて持った瞬間だったのです。

作品自体は1時間半くらいで、内容も特別サッカーに詳しく無いと面白くないということは無いと思います。それよりもサッカーに付随するカルチャーに触れてもらえたら、サッカーに対する見方もガラッと変わるでしょう。

個人的にこの作品を観て感じたのは、フットボールがフーリガンを生みだしているように捉えられますが、フーリガンがフットボールを利用しているだけな気もします。そんな自分自身にもしかしたら他の仲間も気がついているのかもしれません。そんな感情を紛らすのがドラッグ、酒、SEX、暴力なのでしょう。よくあるようなストーリーですが、フットボールのカルチャーを通して観るとやっぱり引き込まれますね。気になった方は是非。

Attack on Wembley

こんばんは。EURO2024の開幕が近づき、日本での放映権問題に不安を抱いていた最中ですが、WOWOWのみならずAbema TVでも全試合放送されるそうですね。これは本当にありがたい。どうしてもWOWOWに加入するのに躊躇してしまうのは自分だけではないでしょう。昼夜逆転しても主要な試合だけは欠かさず観たいですね。もちろん仕事には影響の無い程度に我慢します。

そんなEUROの開幕が迫る中、NetflixでEURO2020のドキュメンタリーを見つけました。邦題で「EURO2020 ファイナル: 動乱のウェンブリー」という作品です。一見EURO2020の全試合を追ったドキュメンタリーと思いきや、決勝戦のイングランド代表とイタリア代表の試合の裏で起きた騒動についての内容。

そもそもイングランド代表が国際大会で決勝まで上り詰めたのは1966年にイングランドで開催されたW杯にまで遡ります。つまり、55年振りの決勝進出ということ。そりゃEURO2020も自国開催だけあってお祭り騒ぎになるのは当然でしょう。

しかもこの時は新型コロナウイルスのパンデミックが収まりつつあった頃の話。フラストレーションの溜まった国民はこの時を待っていたと言わんばかりにチケットの有無に関わらず聖地ウェンブリースタジアムに押しかけます。決勝のキックオフは午後8時ですが、早朝から大勢のサポーターで群がり酒を片手にコカインをキメてパキパキ。暴れ狂うサポーターの数は警察の予想をはるかに超えていました。

例えるならば日本で言うハロウィンのようなもの。本質を忘れた群衆が秩序を乱して楽しんでは外部に被害を与える。他人がしていたら自分もOKという悪循環です。まあそれがイングランドの国民スポーツとなればハロウィンなんて比にらないのは想像がつくでしょう。

チケットを持たない人々によってゲートは次々と破壊され、最終的には2,000人以上がスタジアムに侵入したと言われています。さらにはスタジアムの外には6,000人もの群衆が試合終了後に突入しようと待機していたとか。この光景を現場にいた人間はまさにゾンビのようだったと語っています。

結果的にイングランドはPK戦の末にイタリアに敗れたので最悪の事態は免れました。そして敗北を表すかのような突然の雨に救われてサポーターは帰路につきました。幸運にも死者が出なかったのが唯一の救いでしょう。

本編では当時騒ぎ立てていたサポーターやゲートをくぐり抜けた不法侵入者、そして警備をしていた関係者などの証言も盛り込まれていて見応えがありました。

中でもイタリア人の父親と娘の証言には不憫に思いました。念願の娘とウェンブリーで決勝を観るという夢を叶えたものの現場は大荒れでビールをかけられては罵声を浴びせられたりと散々な状況に幼い娘は恐怖から涙をこぼしながらも必死に守り抜く父親には胸を打たれます。最後にインタビュー中に登場した娘が当時持参していたフラッグを片手に父親に抱きつくシーンには感動を隠せません。

そして国を背負って戦ってきた選手もPKを外すと除け者扱い。そしてその黒人3選手に対する差別的発言がSNSに飛び交います。どれほどのプレッシャーに打ち勝ってここまでやってきたのかは選手たち本人にしか分かりません。しかし、理解しようとしないのはもはやサポーターと言えるべき存在なんでしょうか。

そういった疑問が残りつつも、後先考えずに発言してしまうほど熱狂的になる国民的スポーツの力は色んな意味で恐ろしいと感じました。国の文化の違いを感じつつもここまで大勢の国民が理性を失うほど熱くなるものは日本にはきっと無いでしょう。興味を持った方は是非観てみてください。それぞれ感じるものは違うと思います。そんな感想をまた聞かせてください。

2024年6月5日水曜日

ONE True Saxon

こんばんは。6月に入り平日の来客は5月に比べると落ち着いた今日この頃です。欧州リーグが閉幕したと思うとEURO2024がもうすぐ開幕ですね。自分は海外サッカーに特に夢中だった頃のEURO2008が今でも忘れられません。この大会の試合はほとんどVHSにダビングして何度も繰り返し観ては最終的にテープの寿命でカスカスな映像になっていた気がします。

特に優勝国スペインのダビド・ビジャは4試合4得点で得点王。本当にかっこよかったな〜とEURO2024開幕前に余韻に浸っていました。EUROってW杯と違って本当にサッカー好きな人しか観ない印象なんですよね。そこが好きだったりします。個人的には開催国であるドイツと因縁であるイングランドの決勝が観たいですね。

てことで今回はオンラインストアに眠っている商品をピックアップしようかなと思います。なんだかんだで売れ残ってる商品も一つ一つ細かく紹介したいくらい愛着のある商品ばかりなんです。たまには過去の商品も見てみてくださいね。

今回はONE True Saxonのシャツをご紹介します。そもそもONE True Saxonってどんなブランド?って方に簡単にご紹介します。

1998 年に元ポール スミスの従業員数名によってノッティンガムで設立されたブランドです。イングランドの中心地であるノッティンガムを拠点とする彼らの服はイングランドの愛国心に誇りを持ち、イングランドの心そのものを取り入れていると言われています。

特にフットボールファンにはすぐに親しまれ、数あるフットボールカジュアルブランドの中でも人気を誇っていたブランドです。

ONE True Saxon は自らをファッションブランドとしてカテゴライズせず、国民的なスタイルアイコンを体現する快適で高品質な製品を生産しています。当時のイギリスブランドの多くは高品質で高価な生地を使用するか、数回の洗濯にも耐えられない安価で寿命の短い類似品を使用するかのどちらかがほとんどだったそうです。それに対してONE True Saxon は、高価で耐久性のある衣類を販売するブランドと作りがチープで安価な衣類を販売するブランドの間に焦点を置いたそうです。

モノづくりに細部まで拘りながらもハイブランドとは肩を並べないそのスタイルはフットボールファンから絶大な人気を誇り、英国のアイコニックなブランドとして台頭していました。逆にハイブランドを好む人ような気取ったファッションを好む人からは支持を得ていませんでした。自分はこういう立ち位置のブランドが大好きです。

残念ながらブランド自体はすでに終了してしまったんですが、現在の英国フットボールファンからも未だに愛されているんだとか。日本のフットボールファンもこういうブランドをサラッと着ていたらカルチャーを遡った英国のスタイルを感じてグッときます。ほとんど目にすることはありませんが。

今回ご紹介するシャツはグリーンをベースをしたタータンチェックを採用しています。フロントには色味とチェックの雰囲気が異なる生地を切り替えており、一癖ありつつも全体的にまとまっているのはONE True Saxonのこだわりが詰まりきっているように感じます。

右袖口のピスネームやフロント下部の"OTS"の刺繍も良いアクセントでしょう。

今回はそんなONE True Saxonのシャツをご紹介しました。ユニフォームをはじめとするクラブのウェアももちろん良いんですが、どうせなら海を越えた本場のフットボールファンが愛するブランドに袖を通すのもフットボールのまた違った楽しみ方と自分は思います。日本では認知が低いものの時代背景を感じつつ自己満で着るくらいがちょうど良いでしょう。自分はそう思います。

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